『同窓会』
 同窓会帰りの龍之介と中嶌。とある公園で酔いを醒ましながら、久しぶりに会った級友達の話に花を咲かせる。日に当たる仕事をしている者、行方が知れなくなっている者・・
 
 同窓会ものをやるには、40歳前後が一番いいんです。ある程度、クラスメイトの事は憶えているし、適当に多岐にわたる人生をそれぞれが送っていて、なによりも、まだ、だいたい生きている。30歳前後の同窓会より、50歳前後の同窓会よりも、40歳の同窓会がいい、というのはそういうことです。そして「同窓会の帰りである」という情報が観ているお客さんに伝われば、そのあとは実はこれといって、なにかなくてもいい。というよりも、なにもない方がいいんです。久々にクラスメートに会い、その余韻にひたっている時間がそこにあれば、いけると思いました。30歳前後の人間が同窓会の後で、そんなふうに余韻に浸ったりしないでしょう。もっと、久々に会った仲間とテンションが上がって、ちょっとはしゃぎ気味になっていたりするものです。50歳前後の人間が余韻に浸っていると、ちょっと重すぎます。このまったく同じシチュエーションで酔った二人が夜の公園でベンチに座って、なにを話すでもなくいるという話を、またやります。それはクラスメートの一人が自殺して、その葬儀の帰り道の話です。